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バーナンキの言うヘリコプターマネーってそんなに過激ですか?

7月12日の昨日行われた安倍首相とバーナンキFRB連邦準備制度理事会)議長の会談が株式市場では様々な憶測を呼んでいます。大規模な財政政策とそれを支える金融緩和の期待が強まり、市場はプラスに反映しています。メディアからは「ヘリコプター・ベン(バーナンキの呼称)」とか「ヘリコプターマネー」とかいう言葉が使われ、門外漢の国民からは、まるでお金が空から降ってくるような政策の印象を持ちます。ヘリコプターマネーという言葉は、どのような意味で使われているのでしょうかか?
金融の世界において、このヘリコプターマネーとは、一般に中央銀行が債券市場を通さず、政府から国債を直接に引き受けることを指しています。通常、日銀が国債を保有(引き受け)する場合は主に民間銀行から購入します。一般に買いオペレーションなどと言われますが、これによって民間にお金を供給しています。なぜ、ワンクッション置くのかというと政府が借金する場合、民間市場でも引き受けたい(貸したい)人がいるという債権価値のお墨付きを得ること、逆に言えばお墨付きを得ないと国債は発行できないという制約を置くことで、国債の安易な乱発及びインフレを防ぐという目的があります。財政法第5条は「すべて、公債の発行については、日本銀行にこれを引き受けさせ、又、借入金の借入については、日本銀行からこれを借り入れてはならない。」とあり、これが日銀の国債の直接引き受け禁ずる根拠となっています。実は、この法律には続きがあり、「但し、特別の事由がある場合において、国会の議決を経た金額の範囲内ではは、この限りでない。」また、日銀法第34条では「目的達成上必要がある場合に、財務相及び首相の認可を受けた時」という抜け道あるのですが…。
何れにせよ、こうした国債の市中消化の原則があり、アベノミクス批判の論拠とされてきました。
バーナンキは、FRB議長時代に徹底した金融緩和を行ってきました。QEと言われる量的金融緩和を行ってきたのはバーナンキの時代です。それはQE2、QE3と一発、二発、三発と発射され、住宅ローン債権、米国債と期間も量も無制限の緩和を行いました。まさに財政ファイナンスそのものです。それを信念を持ってやり続けた結果、リーマンショックを払拭し、景気回復を果たしました。
この人物とこのタイミングで安倍首相は会談しました。本田悦郎内閣参与の深い関与とサポートが垣間見えます。クルーグマンと会談し、その後消費税の引き上げを延期したことが想い出されます。
私自身は、国債の日銀直接引き受けの後に、どこにお金を撒くのかということの方が重要なのではないかと考えています。バーナンキの言うヘリコプターマネーは、あくまでも日銀による国債の直接引き受けの辺りまです。引き受けの後の使われ方は、公共事業でしょう。それでは生温いです。私は国民への直接給付、それも一人10万円位の直接給付が望ましいと思います。これで10兆円規模の景気対策なります。言葉通り、ヘリコプターマネーを実行してほしいものです。