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総合スーパーの縮小、時代の変遷だけなのか。ユニーの不振、撤退から考える

地域の拠点となる大規模スーパーの撤退が相次いでいる。セブン&アイは、2015年10月に2020年までに約40店舗のスーパーマーケットを閉鎖する宣言し、最近では駅前の中心部にあった岡山市の店舗からの撤退(2017年2月)を決めている。岡山市の例は、近隣にイオンモールが出店したことによる影響が大きい。当該物件は「ジョイフルタウン岡山」の名前で、J-REITのフロンティア不動産投資法人証券コード:8964)が保有、2016年の3月に両備ホールディングスに86.85億円で売却している。

http://www.japan-reit.com/meigara/8964/topic/2016/2612

リンク先の文章の中で「賃料協議」をしていたというのは、要はイトーヨーカドー側がテナント料を下げろとJ-REIT側と値引き交渉をしていたということでであり、値引き交渉が決裂し撤退がほぼ決まった後で、岡山の経済事情に詳しい地域コングロマリット両備ホールディングスに引き取ってもらったということである。所有者が交代してから5か月でのスピード撤退であり、こうしたディールに詳しい人ならば、すでにイトーヨーカドーの次のテナントは決定しているか、銀行サイドの事情(つまり不良債権を逃れるための付け替え)によるものであろうことが想像できる。両備ホールディングスも簡単にババをつかまされるほど馬鹿ではないだろう。

GMSと呼ばれる衣料品売り場を含む総合スーパーの不振が叫ばれて久しいが、新しい商業形態(モールなど)に取って代わられるならば、市井の人々の生活にとって特に問題はない。しかしながら、衣替えをしたところで新鮮味が長続きせず、数年で経営不振や撤退といった問題が生じているのが現在の日本の流通ではないだろうか。ここ数年は中国からの観光客による爆買いで隠れていたが、今後問題が噴出することが予想される。欧米の真似事で作り、金融資本の流入によって日本全国で雨後の筍のごとく出てきた商業施設はいったい何年持つのだろうか。ちなみにセブン&アイは、同じ岡山県のショッピングモール「アリオ倉敷」からイトーヨーカドーの撤退を決めている。

そんな中で、次のニュースが飛び込んできた。ユニーグループ・ホールディングス(GHD)は8月9日、2019年2月末までにコンビニエンスストアの「サークルK」「サンクス」のうち約1000店舗を移転・閉店すると発表した。「アピタ」「ピアゴ」など総合スーパーは約25店舗を閉店する模様だ。

http://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ09I40_Z00C16A8TI1000/

空いた穴を別の何かで埋め合わせられるのなら、何も問題はない。しかしながら、流通業がこれほどにまで日本で苦戦するのは、何故なのだろうか。

私は小売・流通業が苦戦する理由について、他産業に比べる利益率の低さにあると考えている。経済産業省平成26年企業活動基本調査速報によると、全産業の売上高営業利益率平均が約4.5%に対し食料品、衣料の小売業は1.8%程度である。薄利多売の小売とは言え、平均と比べて2倍以上も利益率が低い事実がある。それは過当競争というよりは、10年以上にも及んだデフレ下における低位安定の価格水準を人々が信じてしまっていることにあるような気がしている。安くないと購入しない。人々が購入しないから、その価格水準に合わせてしまう。政治的な思惑もあり、現時点における食料品を中心とする日常生活品はデフレ時代を脱却しているようには全く思えない。

私の住む東京都府中市は、都内でも出生率が高く、現在時点では人口の増加起こっている地域なのだが。最近では府中本町駅前にあるイトーヨーカドーが撤退、甲州街道沿いのヤマダ電気も撤退。ヤマダ電気が撤退した後、町の電気屋が少なく、一人暮らしのサラリーマン私は平日に蛍光灯を交換するのにAmazonを頼るしかなかった。実家のある福島市駅前のイトーヨーカドーも心配だ。

日常品に税の減免をするのと同様、市街地に位置する日常品を販売する中規模店舗に対し、例えば地代負担等を軽減し、利益率を向上させるための政策はないのだろうか。地域商店街を保護する法規制も必要だが、中核店舗が存続し続けるための政策も必要だ。政治の知恵が求められている。