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高市早苗は、このままでは曲学阿世の徒 NHKワンセグさいたま地裁判決を受けて

安倍政権は大変な危機を迎えました。高市早苗総務大臣ワンセグに対するNHKの受信料聴取に対するトンチンカンな対応です。このままだと、高市早苗総務大臣はもとより安倍政権も国民から袋叩きにあう可能性があります。

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わざわざ言及した蛇足(総務省の見解)

今回は地裁の判決が出てすぐのことです。せいぜい、今後の司法判断を待ちたいくらいのコメントで切り上げればよいものの、ワンセグは、受信料支払い義務の生ずる受信設備にあたるとの認識を示し、その根拠は、総務省NHKの受信規約(「設置」の意味を使用できる状態に置くこととしたこと)を認可したこととしています。

放送法64条1項について 

NHKが受信料を聴取できることとなっている放送法64条1項の条文をきちんと見ておきましょう。

協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者は、協会とその放送の受信についての契約をしなければならない。ただし、放送の受信を目的としない受信設備又はラジオ放送(音声その他の音響を送る放送であつて、テレビジョン放送及び多重放送に該当しないものをいう。第百二十六条第一項において同じ。)若しくは多重放送に限り受信することのできる受信設備のみを設置した者については、この限りでない。

今回の裁判における法律上の主な論点

論点となるのは、①受信設備とは何か、②設置とはどうのようなことを言うのか、③但し書きにおける「放送の受信を目的としない受信設備」とは何か、といったあたりにあろうかと思います。

裁判では、①と②を合わせて、論点(1)ワンセグ機能付き携帯電話を持つものが、「協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者」にあたるかどうかとしました。また、③を独立させ、論点(2)とし、ワンセグ機能付き携帯電話が、ただし書きにある「放送の受信を目的としない受信設備」にあたるかどうかの2点が争われることになりました。今回、さいたま地裁の大野和明裁判長が下した判決は次の通りとなります。

さいたま地裁の判決の要旨

  1. ワンセグ機能付き携帯電話を持つものが、「協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者」にはあたらない。
  2. ワンセグ機能付き携帯電話が、ただし書きにある「放送の受信を目的としない受信設備」にあたるかどうかについての判断はせず。
  3. 1.設置したものにあたらない以上、NHKの受信料の支払い義務は生じない。

判決をもう少し詳しく(受信設備だが、設置にはあたらず。)

上の1.について、さいたま地裁の見解をもう少し説明します。まず、ワンセグ機能付携帯電話が「協会の放送を受信することのできる受信設備」にあたるかどうかという点については、物理的にテレビ受信可能な状態にあるので、受信設備にあたるとしました。続いて、「設置した者」については、ワンセグ付携帯は、携帯するもので、設置するものであるとは必ずしも言えず、国民から税をとるような意味合いの強い受信料については明確に条文に明示しなければならない(財政法の趣旨、租税民主主義、租税要件明確主義から)。現在は条文上不明瞭であるから、受信料支払い義務はないという論旨でした。

高市総務大臣のコメントは法律的には正しいが・・・

高市早苗総務大臣のコメントは、法律的な見地からさいたま地裁の判決を受けてのコメントですので、まず、ワンセグ付携帯電話は放送法における受信設備にあたるという点については、さいたま地裁の見解を踏襲したことになります(この点に多くの国民の誤解があります。)。次に、総務省NHKの受信規約(日本放送協会受信規約)を認可した際、設置という言葉を「使用できる状態に置くこと」と広義的な意味において認可したという点については、今回の被告たるNHKの法的見解をそのまま述べています。

総務省が認可したら、それで法律の範囲まで確定するのか?

しかしながら、判決にも言われている通り、租税民主主義や租税要件明確主義の観点からすれば、受信料という対価的なサービスよりもむしろ租税的意味合いの強い受信料について、法律の範囲の確定(設置という言葉の範囲)を総務省NHK間の当時(昭和37年3月30日、携帯電話はない時代)の許認可だけで決めてしまってよいのかという強い疑問が残ります。

判決は「放送の受信を目的としない受信設備」の定義に踏み込まず、わかりにくい。

 もっとも、私自身はこのさいたま地裁の判決について、わかりにくく、論の立て方がすっきりしない印象を持っています。本来ならば、但し書きの「放送の受信を目的としない受信設備」で持って行ったほうが論がすっきりすると思いました。これまでの判例の積み重ねで難しいのかもしれませんが・・・。

政治家は、官僚にあらず。テクニカルな法律論に逃げるな

高市早苗総務大臣のコメントに戻ります。今回報道記者からさいたま地裁の判断についての見解を求められたのは、総務省の総意としての見解ではないし、法律条文のテクニカルな解釈ではありません。違法性はさておき、NHKは受信料を取り過ぎではないのか?、公共放送の枠を超えて肥大化しすぎていないか?、職員給与は高過ぎではないのか?といった国民の実感に根差した質問であると思います。そうした核心部分をすり抜けてテクニカルな回答でかわすのは、代理人たる代議士としての資質に疑問符が投げかけられます。政治家は官僚ではないのです。もし、NHKの現在の在り方について定まった見解がないのならば、期間を定めて考えをきちんと話したいとするのが政治家の言葉です。

マスメディアは印象操作し、国民をミスリードする

 新聞等、安倍政権に批判的なマスメディアは、今回の高市大臣のコメントをテクニカルに法律論でかわした発言とそのまま捉えず、特定の部分だけ抜き出して、あたかもNHK寄りだという曲解を広める印象操作を行う可能性が高いです。ある意味、テクニカルで逃げるよりも、正々堂々とNHKの議論をするほうが政治家にとって得です。

平日でないと見れない判決文。判決文のインターネット公開を求める。

今回、さいたま地裁の判決文は、あの立花孝志さん(立花隆ではない)がブログで公開してくれたおかげで読むことができました。

https://files.acrobat.com/a/preview/39c68d66-3dbb-4012-a325-7d9205c3b3ef

その他のメディアも知る限り公開していません。未だに、判決文は、平日(休日は不可)に管轄裁判所に行って、閲覧の申請を行い、謄写(コピー)し、お金を払わないと一般人は見れません。司法は未だ「民は之に由らしむべし、之を知らしむべからず」を地で行っています。形式的な裁判員制度より、まず判決文のインターネット公開を早急に行ってほしいです。民主主義の基盤は情報公開なのです。

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