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総務省とは誰? 総務省のワンセグ付携帯受信料を「事実上の免除」は、幕引きのレトリック

先日9月2日、高市早苗総務大臣ワンセグ機能付き携帯電話のNHK受信料についてのさいたま地裁判決(NHK敗訴)を受け、ワンセグ付き携帯は放送法の受信設備にあたり、放送法上の設置の定義についても、「利用できる状態に置くこと」とし、NHK の受信料徴収を問題ないとする見解を述べました。舌の根も乾かないうちに、総務省は、ワンセグ機能のみを使用している理由でNHK受信料を支払っている国民の受信料免除の要請をNHKに行う方針という報道がされています。

代表的なものとして、日本経済新聞の記事を見ていきます。

http://www.nikkei.com/article/DGKKZO06957420X00C16A9EE8000/

総務省はNHKに対して、ワンセグ機能付き携帯電話だけを持っている世帯の受信料を、事実上免除するよう求める方針だ。テレビを持たず、ワンセグ放送も見ていない人から不満が出ているため。総務省の要請に強制力は無い。NHKはこれまで徴収する方針を示しており、今後どう対応するかが焦点になる。

総務省は」とは誰なのか? 知る権利に奉仕しないメディアの怠慢

まず「総務省は」とありますが、日経に限らずどのメディアの記事からも、総務省の誰がその方針を示したのかという点を読み取ることはできませんでした。今回、9月2日に高市総務大臣が、これと真逆の見解を示しています。それを受けて今回の記事があるならば、この免除方針を示したのが高市大臣なのか、事務次官なのか、広報担当者なのか、管轄部署の部長なのかという点こそが国民にとって最も重要なのです。誰がコメントしたのかによって国民一人一人の対応が変わります。にもかかわらず、どのメディアも恰も事前検閲に合ったかのように肝心な部分をスルーしているのです。これでは「飛ばし記事」と何ら変わりません。方針を少なくとも決められる人間からの取材なのでしょうが、これでは国民の知る権利に奉仕していないと言わざるを得ません。

総務省の方針は、良いどころかむしろ国民の権利を後退させる

次は、総務省への批判となります。記事を読んで、何か総務省がいいことをしてくれているように感じる方もいるかもしれません。しかしながら、それは浅い読み方です。「総務省NHKに対し、ワンセグ携帯の受信料免除を事実上免除することを要請する」ということは、国民の権利の大幅な後退を総務省が図っていることを意味します。免除という言葉の主語がここではポイントとなります。実は、総務省が免除するのか、NHKが免除するのか、裁判所が免除するのかによって意味合いは大きく変わるのです。現在、さいたま地裁NHK敗訴の判断が下されましたので、現時点では、「法律が」免除(NHKの受信料徴収を認めていない)している状態です。NHK総務省も何も手出しはできません。現時点では、民意をバックに高裁での旗色も悪くありません。

しかしながら、この記事にある総務省の方針を国民が受け入れてしまっては、NHKの好意によって、NHKの判断で免除するという地点まで国民の権利は後退します。もう一度記事を引用しますのでよく見てください、官僚はこういうレトリックを使います。

官僚の巧みなレトリック

総務省はNHKに対して、ワンセグ機能付き携帯電話だけを持っている世帯の受信料を、事実上免除するよう求める方針だ。

ポイントは「事実上免除」です。単なる免除だと、放送法上の「設置」の定義を「使用できる状態に置くこと」とコメントした高市総務大臣及び総務省の誤りを認めることになります。場合によっては、認可の誤りについて、NHKから総務省に対し訴訟が起こされる可能性があります。そこで、「事実上免除」なのです。これは、法律でもなく、総務省でもなく、NHKの好意により、免除するということで落としどころをつけようということです。NHKにとっても、放送法の条文上にある「受信設備」や「設置」の意味、但し書きの「放送の受信を目的としない受信設備」という部分を裁判を通じて、かっちりと定義されますと現状のどのようなメディア装置でも放送が受信できれば受信料徴収ができる状態が崩されてしまうので、具合が悪いのです。また、公共放送は必要かというNHK民営化を含む現状の放送法のあり方にまで国民の関心が及ぶのは避けたいところです。この辺りで、総務省は幕引きを図っているのです。

最高裁まで争って権利を勝ち取れ!

ここで、裁判をやめてはいけません。幕引きなどまっぴらです。国民の利益になりません。旗色は非常にいいです。法律で受信料の支払い義務はきちんと定義してもらいましょう。裁判を通じて、公共放送は必要かという放送法のあり方にまで踏み込み、自由で公正な競争のある新しいメディア世界が作られていくことを私は切に望みます。 

ほうら、役者がそろってきたぞ。

headlines.yahoo.co.jp