Nikkei225オプション日記

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左傾化した週刊SPA。フジ・サンケイグループ内のバランス戦略、はたまた暴走か?

週刊SPAの左傾化

フジサンケイグループの扶桑社の代表的雑誌、週刊SPAと言えば、産経新聞ほどではありませんが、どちらかというと右寄りのイメージを持っていましたが、ここ最近、何が起こったのかわかりませんが、様変わりを見せています。巻頭ページが勝谷誠彦から菅野完に交代、最近では賛否のわかれる高江ヘリパッドの問題について、香山リカさんの取材レポートが週を跨いで大々的に掲載されるなど、大旋回を始めています。まあ、もともと小林よしのりさんの「ゴーマニズム宣言」まではこんな論調だったかもしれませんが、こうした雑誌は、これまでの読者層をある程度繋ぎ止めた上で、少しずつリニューアルを図っていくのが多いように思えるのですが、この手のひら返しにはちょっと驚きです。当時の香山さんは、メディアその他でちょっとやらかしてしまっていて、目を覆いたくなるような画像や動画が拡散してしまって非常に使いにくかったでしょうし、いくら「日本会議の研究」の売り上げを伸ばしたい思惑があっても、菅野さんにはちょっと無政府主義者のような危なっかしさがあり、巻頭ページを任せるだけのリスクはなかなか決断できるものではありません。

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路線転換の仮説を立ててみる

 なぜこのような路線転換が可能だったのか、どうしてこうしたリスクを果敢にとれたのかということについて、私なりにちょっと仮説を立ててみました。

1.グループ内の右寄りバランスの修正機能(リスクヘッジ

フジ・サンケイグループは産経新聞社のイメージが強く、資本やグループ経営サイドからは、政治的にリスクを分散しておこうという考えが働きます。また、放送法は放送局の中立性を守りつつ活動をしなければならないので、フジテレビなどはリベラル派の人脈も独自ルートだけではなく、自社グループから確保したいとなるでしょう。グループのバランスから扶桑社は、多少リベラル側にシフトするという経営的な思惑が働いているのではないでしょうか。

2.子会社における傍流の役割

扶桑社は、ライブドア騒動後に、フジテレビの子会社となりました。親会社のフジテレビの報道などの基本スタンスが多少右寄りとすると、主流派の意に沿わない社員は窓際となり、子会社に出向ということが考えられます。となると子会社はどちらかというとリベラル派が集まる傾向となります。出向には様々な理由がありますので一概には言えませんが・・・。ただ、会社人事の観点からいえば、主流と立場の異なる社員にも活躍の場を与えることが必要でしょうし、完全に放逐するのではなく、主流派がポカをやった場合に、反主流が主流に取って代われるようにする保険というか、会社に厚みをもたせよう考えもあろうかと思います。朝日新聞が、森友問題における籠池夫人のメールを都合の良いところだけ抜粋して掲載したのに対し、野党側に不利な内容をも含むメール全文が、朝日新聞のほぼ子会社である日刊スポーツに掲載されたのは、いかにも社会の実相を映し出しているような気がします。

3.購買層の変化

一般社団法人日本雑誌協会の印刷部数公表によると 、2016年10月から2016年12月のSPAの1号あたりの平均印刷部数は、109,882部で約1/2に減少しています。8年前、2008年の同時期の部数201,300部と比べると、半減のような状況です。2011年12月当時のコアな購買層が35、6歳とのことですから、もう購読者層は、40歳代に突入しているのでしょう(SPA!の編集長インタビュー | Fujisan.co.jpの雑誌・定期購読)。いわゆる就職氷河期リーマンショック、デフレにぶつかっていますので、社会への不満を抱えている人々が多いと思います。IT化に対応できない活字文化層がリベラル傾向を深めたのかもかしれません。蟹工船*1ブームなんかありましたからね。

4.広告主の変化

もともとそうなのかもしれませんが、ブルジョア的、保守的な層に受ける広告はあまりなく、アダルトビデオ業界とか、なんとなくリベラル派の多そうな業界の広告がかつてより多くなってきた気がします。

5.編集長の交代

編集長が渡部超さんから、2013年に金泉俊輔へ変わって現在にに至っています。そろそろ次の世代へバトンタッチの時期を迎えているのか、はたまたようやく金泉さんの色を出してきたのか。まあ、雑誌は編集長次第ですからね。

以上、勝手気ままに仮説を立てました。まあ、これからもウォッチングは続けます。ただ最近エロ記事がさらに多くなってきたと思うのは私だけでしょうか?

 

*1:小林多喜二著、いわゆるプロレタリア文学に分類される作品