昨日の朝、相模原市津久井周辺の障害者施設で起こった大規模殺傷事件殺を聞いたとき、殺害人数の多さや凶器の刃物といった点から、本当なのかと疑いを持ちましたが、間違いなく起こってしまった事件でした。また、その時点で介護や障害者施設で働く人の賃金が低く抑えられている事実について述べました。http://nikkei225option.hatenablog.com/entry/2016/07/26/075522
経済学の教科書では、一般に賃金は需要と供給の一致によって決まっていくと書かれていますが、社会人を数年経た時に身に染みて感じたのは、賃金は労働の需給関係で決まるのではなく、少し大雑把に言うと社会構造や事業構造によって決まるということです。仕事における賃金水準がある固定化された場合、ほとんど動くことはありません。
民間の介護事業でいえば、入所料などサービスの対価として一般の人々はどのくらい払える余力があるのか、施設の最大収容人数は何人か、最大収容時に資本利回りを差し引いた残りはどのくらいあるのか。こうした範囲の中で労働者の賃金は決まります。モノを売る事業と比べて収益拡大の限界がある事業構造です。技術革新がおこったり、法令を無視しない限り、賃金は簡単に上がりません。介護の資本が儲かってお金を溜め込んでいれば別ですが…。
問題はこうした構造の中で、業界に労働者が寄り付かず、サービスを提供できなくなってしまった際にどうするのかということです。そのサービスが社会、国家にとってどうしても必要なら税金を投入することによってその事業は残ります。