Nikkei225オプション日記

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1ドル98円は覚悟。為替介入がなければ95円も。ドイツ銀行破綻リスクが通奏低音に。

為替の円高が予想通り、止まりません。本日の日経平均は、前日比273円5銭安(-1.62%)の16596.51円で日中の取引を終えました。お盆休みもあり、閑散相場の中上昇していた日経平均ですが、久しぶりに前日比1%以上の大きな調整となりました。前日のNYダウ平均との連動も今日で途切れました。昨日までここ1週間以上、前日のNYダウが上がれば、日経平均も上がり、下がれば日経平均も下がる(ただし振れ幅は日経のほうが大きい)連動相場の動きをしていました。NY市場では、ダウが年初来高値を更新し続けてており、それが日本の相場の底堅さを形成していました。昨日のダウは、前日比59.58ドル高で、上昇の期待感があったにもかかわらず、大幅に下落しました。NYダウ平均よりも為替の節目である1ドル100円割れが意識され始め、マーケット関係者の心理を悪化させたのが要因でしょう。1ドル100円を割ると、次は98円、その次は95円と節目の数字が意識され、近くまで円高が進むと必ずその値を割ってくるのが為替相場です。危険水域に突入したといっていいでしょう。

7月29日に行われた日銀金融政策決定会合の内容は、株価対策はするが、為替政策の金融緩和は行わない日銀の立場を明確に補強しています。現状では、為替介入の権限を持つ財務省とアメリカを中心とする各国の為替当局との折り合いがつき、為替介入がない限り、円高はさらに進むでしょう。

日銀や財務省が何もせず、持ったままの馬なり放置ですとマーケットでは円高が進んでいくように思えます。購買力平価など為替水準を予測する指標は多くありますが、あくまでレンジ(上限と下限の範囲)を考えるものであり、短期の動きについてはやはりマーケット心理、マーケット参加者の頭の中を想像しないことには動きを予測することはできません。

さて、イギリスのEU離脱後、為替ディーラー等市場参加者の頭の中に絶えずあるものととして、ヨーロッパの銀行の不安、特にドイツ銀行の破綻リスクの問題があります。

ドイツ銀行は、世界最大のデリバティブ(75兆ドル)を保有していることから、破綻すればリーマン・ショック以上の金融危機、世界規模の恐慌を引き起こす可能性が高いとされています。そのドイツ銀行が保有するデリバティブ商品は、例えばギリシア国債がデフォルトすると巨額負債が発生するもののようなEU経済が悪化すると自動的に発生する時限爆弾を多く抱えていると言われています。勿論、そうした投資銀行業務のほかに、商業銀行等としての貸出し業務もあり、ヨーロッパの経済が悪化すると不良債権も増大していきます。2015年にはCEOの2回の交代、海外業務の縮小、事業再編、大規模なリストラを実施しました。それでも2016年に入り、ドイツ銀行の株価は4割以上も下落し、2015年度の決算は8,500億ドルの純損失を出しました。

https://japan.db.com/jp/content/ir_releases_2011_6304.html

また、世界の主要金融機関のオフショアにおける、資産保有状況の情報収集および分析を手がけるオフショアリークス社によると、オフショア市場に限っても、ドイツ銀行対中投資額は約5兆円に膨らんでいるとのこと。最近では、あまりに保有するリスクが高いため、欧州やアメリカのストレステスト(*1)に不合格となりました。

http://www.federalreserve.gov/newsevents/press/bcreg/bcreg20160629a1.pdf

さらに、最近ではアメリカのシティバンク等に保有するデリバティブポジション(CDS等)を売却したという報道もあります。勿論、ポジション整理には損失が伴うという想像が働きます。欧州中央銀行の資本注入など不安解消の大きな進展がない限り、この不安は燻り続け、ユーロ安、ドル高、円高という傾向が続くのではないでしょうか。 

日経平均が16,000円を割ると、GPIFや日銀のポジションが厳しくなり、政権への批判も高まります。アベノミクスは正念場を迎えました。

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*1:資産運用において、マーケット(金融市場)での不測の事態が生じた場合に備えて、ポートフォリオ(ポジション)の(損失の程度や損失の回避策を予めシミュレーションしておくリスク管理手法をいいます。