先日、Twitterの投稿がきっかけとなり、ネットを中心に大炎上したピーシーデポコーポレーション(7618)について、ホームページ上のIRで公開されているアナリストレポート(日本ベル投資研究所 鈴木行生 氏)及び財務諸表から、個人的に分析を行いました。私の結論としては、非常に危うい状況であることが分かりました。最初に下のグラフをご覧ください。
売上の47.6%がPCサポートから
2009年3月の決済期にPCソリューションいわゆるPCサーポート業からの得られる収益の会社全体に対する割合は10.3%にすぎませんでした。その割合は、14.4%、18.6%、23.3%と年々上昇していきます。直近の2016年3月の決算期には、その割合は47.6%となんと売上げの半分弱を占めるまで増加しています。
次に、本業の稼ぎを示す営業利益の推移を表で示します。
決算期 | 09.3 | 10.3 | 11.3 | 12.3 | 13.3 | 14.3 | 15.3 | 16.3 |
営業利益 | 1,259 | 1,226 | 1,368 | 553 | 876 | 2,310 | 3,089 | 4,314 |
※営業利益の単位は百万円
PCサポート業による効果大きく、利益率3.42倍(対2009年3月比)
営業利益は増大しています。特に2014年3月以降、急激に上昇し2016年の3月には、2009年3月決算の約3.42倍に拡大しました。売上は、その間1.26倍にしかなっておらず利益率が大幅に向上したことがわかります。この要因は、まさにPCサポート業の拡大による収益構造の転換にあったと言っていいでしょう。
PCサポート業は小売に比べ、収益性に優る
PC販売の利益は、単純化すると次の式となります。
- 利益 = 販売価格 - (仕入れ価格 + 人件費)
これに対し、問題となったPCサポート業の利益は下の通りです。
- 利益 = 販売価格(サポート料) - 人件費
つまり、費用となるは人件費のみで、仕入れのコストはありません。勿論、従業員教育のための投資や能力のある人材を新規に雇用するための投資は必要です。しかしながら、それさえ済んでしまえば、コストが非常に安く非常に効率的なビジネスなのです。
一転苦境に
PCデポは、PCの販売不振による業績悪化ををこのPCサポート業の拡大によって乗り切り、乗り切るどころか非常に効率的な会社経営をすることに成功しました。しかしながら、今回、とんだ落とし穴にはまり込んでしまいました。
業態を変更してしまった後は、もはや既存の業態に戻ることを許しません。急激な業態変更により成長したPCデポは、PCサポート業が政府当局の厳しい規制にかかってしまうのかどうかという点にその存亡がかかっているといってよいでしょう。