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事実報道はもういい。新聞社は、論説を示せ!NHK受信料裁判、ついに最高裁へ

NHK受信料をめぐる問題が、ついに最高裁で争われることになりました。

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この裁判が他の裁判と比べて図抜けて重要な意味を持つのは、放送法の枝葉末節の解釈が論点となった過去の裁判と異なり、最高裁判所が、放送法違憲なのか合憲なのかということについて判断を下し、その判例が今後も引き継がれることになるからです。

放送法64条1項が憲法違反かどうかの論点

論点は、放送64条1項は、財産権の侵害及び契約自由の原則に違反しているかどうか。また仮に財産権の侵害、契約自由の原則に違反していても、公共放送は公共の福祉の観点からそれらに優先されるか否か。この2点に集約されます。

おさらいのために放送法64条1項を示しておきます。

協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者は、協会とその放送の受信についての契約をしなければならない。ただし、放送の受信を目的としない受信設備又はラジオ放送(音声その他の音響を送る放送であつて、テレビジョン放送及び多重放送に該当しないものをいう。第百二十六条第一項において同じ。)若しくは多重放送に限り受信することのできる受信設備のみを設置した者については、この限りでない。

普通に法律を読めば、財産権の侵害と契約自由の原則に違反しています。まあ、NHKという公共放送が、こうした権利よりも公共の福祉の観点から優先されるのかどうか。公共放送の重要性をどのくらい最高裁判所が考えるのかというところが判断のポイントとなるのでしょう。

国民から、最高裁判所裁判官にスポットライトが当てられる裁判

この判断を15人の大法廷判事が行います。誰が判断するのか、裁判官ごとにどのような見解をとったのか、どのような司法プロセスを行っていくのかという点について、国民は正しい情報を取得し、判断したいと考える事案でしょう。普段ならほとんど関心のない最高裁判所裁判官の国民審査ですが、今回の放送法64条1項が違憲か合憲かという判断は大注目で、その判断いかんによっては、国民審査で自身の意思を表明していきたいと考えている人も多いでしょう。戦後、国民からこれほど最高裁判所裁判官にスポットライトが当てられる事案、イベントはありません。

メディアは放送法最高裁に積極的に切り込んでほしい

現状では、事案が最高裁の大法廷に回されたという段階ですので、淡々とした事実報道が主で、それほど目立った報道もないのですが、審理に入った時にメディアはきちんと裁判官のメンバーの氏名、経歴、かかわった裁判での判断、その他論評を積極的に行ってほしいものです。そして、新聞はテレビと異なり論説の許された言論機関であるのならば、放送法64条1項が違憲なのか、合憲なのかの考え、自身がNHKの受信料聴取についてどう考えているのかをきちんと社説で述べるべきだと考えます。海の向こうのアメリカの大統領に向かって聞くはずのない言説をああだこうだと言う前に・・・。

さて、取り急ぎ現在の最高裁判所裁判官の氏名だけはこのブログで示しておきます。

  • 桜井龍子
  • 岡部喜代子
  • 大谷剛彦
  • 寺田逸郎(長官)
  • 大橋正春
  • 小貫芳信
  • 鬼丸かおる
  • 木内道祥
  • 山本庸幸
  • 山崎敏
  • 池上政幸
  • 大谷直人
  • 小池裕
  • 木澤克之
  • 菅野博之

憲法では、国民は司法(最高裁判所裁判官)を監視できない

この15名が現在の最高裁判所裁判官です(定年による退官や辞職などもあります。審理前後に交代する可能性も十分ありますのでご了承ください。)。実はこの国民審査はほとんど機能していません。現在の憲法では裁判官任官後の最初衆議院選挙時、そして次はなんと10年後という事実上裁判官を監視できないようなシステム(10年後は裁判官は退官していることが多いから)になっています。

日本国憲法第79条  最高裁判所は、その長たる裁判官及び法律の定める員数のその他の裁判官でこれを構成し、その長たる裁判官以外の裁判官は、内閣でこれを任命する。最高裁判所の裁判官の任命は、その任命後初めて行われる衆議院議員総選挙の際国民の審査に付し、その後十年を経過した後初めて行はれる衆議院議員総選挙の際更に審査に付し、その後も同様とする。前項の場合において、投票者の多数が裁判官の罷免を可とするときは、その裁判官は、罷免される。

 NHK受信料をめぐる裁判は、最高裁裁判官が非常に注目されはずです。この機会に司法を監視できない現在の憲法の問題点についても大いに議論していくべきでしょう。個人的な考えを述べれば、放送法による国営放送ではない公共放送(NHK)、国民が最高裁判所裁判官を殆ど罷免できない憲法79条の制度的欠陥は、占領体制後の意図的な日本封じ込めを狙ったGHQの思惑が色濃く反映しており、超えるべき戦後レジームであると考えています。

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