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ハムやソーセージも食卓から消さねばなるまい。WHOが発表する発がん性物質(因子)への疑問

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(出典:ウィキメデイアコモンズ)

受動喫煙を防止する法案が国会に提出される前に、国民はWHO(国際保健機構)が発表している人間への発がん性評価(癌因子にはどのようなものがあるのかを分類したリスト)について理解を深めておく必要があるように思えます。様々な政治的、経済的なな思惑やレッテル張り、誇張が飛び交う中で、タバコをがん全体の中できちんと位置付ける必要があると考えられるからです。

IRAC(国際がん研究機関)の発癌性物質リストについて

WHOの研究専門組織であるIARC(国際がん研究機関)は、癌の様々な因子を分類しています。分類については次の通りです。

分類 分類の意味 agents
Group 1 Carcinogenic to humans(発がん性あり)  119
   Group 2A  Probably carcinogenic to humans(おそらく発がん性あり)      81
  Group 2B Possibly carcinogenic to humans(おそらく発がん性あるかもしれない。)    292
Group 3 Not classifiable as to its carcinogenicity to humans(発がん性なし)    505
Group 4 Probably not carcinogenic to humans(発癌性はないかもしれない。)        1

IARC Monographs- Classifications

IRACは、2017年1月26日現在、119種類の物質(英訳は、仲介者くらいの意味)を発がん性のあるものとして分類しています。その他疑わしい因子を含めると492種類もあり、すべて示すわけにもいかないので、代表的なものを示します。

分類    代表的な因子 
Group 1   アスベストダイオキシン、タバコ、アルコール飲料加工肉(ハム、ベーコン、ソーセージなど)、エックス線・ガンマ線、太陽放射、太陽灯、紫外線
Group 2A 赤肉(牛・豚・羊などの肉)、殺虫剤
Group 2B 漬物、ガソリンエンジン排ガスクロロホルム、鉛、超低周波磁界(20Hz以下)、無線周波電磁界(携帯電話・TV基地局

ハムやベーコン、ソーセージまで食卓から消える危険性

巷でよく言われているアルコール飲料のみならず、ハムやベーコン、ソーセージといった加工食品が発がん性因子のGroup1としてIRACのリストには明確に掲載されています。Group2まで目を向けると、牛肉、豚肉、なんと漬物までがん因子とされます。そういえば、携帯電話の電波も一時期問題になっていましたね。ここで一つ重要なことを言うと、IRACの公表するリストは、リスクの有無の蓋然性(確からしさ)のみに焦点を当てており、リスクがどのくらい大きなものなのかという量的な側面を示してはいません。本来ならば、そのリスクの大きさをがん因子全体の中で比較し、位置づけていかなればならないのですが、残念ながらそこまでのがんの研究及び学問的コンセンサスは得られてないようです。しかしながら、研究者などは0.0001%が、0.0005%になったというような統計的誤差とも解釈できる数値を倍率で5倍だとか、10倍だなどと表現、メディアがそれに飛びついて危機を煽り立てています。こうした日本の情報環境の中で、1992年にリオデジャネイロで開かれた国連環境開発会議で打ち立てられた予防原則(precautionary principle)に目をやると、嫌な予感がするのは私だけではないでしょう。

環境を保護するためには、予防的な取組方法が各国の能力に応じてそれぞれの国で広く適用されなければならない。深刻な、あるいは不可逆的な被害のおそれがある場合には、完全な科学的確実性の欠如が、環境悪化を防止するための費用対効果の大きな対策を延期する理由として使われてはならない。(リオ宣言 原則15条)

 環境分野で打ち立てられたこの原則は、当時国連で活躍したWHO事務局長ブルントラントさんの力もあってか、狡猾に公衆衛生、健康の分野に浸透しています。わかりやすく言うと「健康に被害のおそれがある事象については、それがたとえ科学的に確実でなくても規制していくべきだ」といったところでしょうか。この原則が健康、公衆衛生の領域において政治的な思惑で適用されてしまうと際限のない法規制が始まります。疫学の特性から発生原因の解明といった因果関係は不要、統計的な衣装を施せば一丁上がりなのですから、今後あらゆる食べ物、生活習慣が「健康に被害のおそれがある」といってWHOや厚生労働省の規制ターゲットになっていくのは目に見えています。

最近までWHOは、コーヒーを発がん性物質としていた

WHO(世界保健機関)は、お世辞にも癌について信頼性のある機関であるとは言えません。WHOの研究論文も、その蓋然性は非常に危ういものの上に成り立っています。何せ研究自体が歴史も浅く論文数も少ない状況です。新しい事実が出されたら、簡単にひっくり返ります。それはWHO自らが言及していることでもあり、その点ではまっとうであるといえるのですが・・・。

It is strongly recommended to consult the complete Monographs on these agents, the publication date, and the list of studies considered.  Significant new information might support a different classification.(これらのがん因子に関する研究論文全体、その発行日、および考慮された研究目録を調べることを強く推奨します。重要な新しい情報は、別の分類(グループへの変更)を支持するかもしれません。)

IARC Monographs- Classifications

WHOは最近までコーヒーを発がん性物質としており、それを撤回しています。

Twenty-five years after classifying coffee as a possible carcinogen leading to bladder cancer, the World Health Organization’s cancer research arm has reversed course, saying on Wednesday that coffee is not classifiable as a carcinogen.(膀胱がんを引き起こすとコーヒーを発がん性物質として分類してから25年後、WHO(世界保健機構)のがん研究チームは、水曜日、コーヒーは発がん性物質に分類できないと言って撤回した。)

2016年6月15日 ウォールストリートジャーナル

結局のところ、がんの発生要因については根本は何も分かっていない

結局のところ、現在まともな治療薬すら存在しない癌は、WHOにも、厚生労働省にも医者にも研究者にも未だ解明されていないのです。1961年に国立がんセンター(現在の国立がん研究センター)が誕生してすでに50年、積算すると1兆円以上の国費が費やされました。治療技術の進歩には貢献したのでしょうが、発生原因のメカニズムはあまりに多種多様。問題解決の糸口すら掴めていません。その意味において、がんに限って言うと研究者も医者も素人と変わりがないのです。

私は最近あるSNSの中の言葉を見て、はっと身につまされる思いをしました。

「がんを治せない奴が、癌の原因を知っているわけがない。」

市井の言葉にこそ、真実が存在する場合が多いのです。