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小池百合子登場で衆議院解散は完全に裏目。消費税増税選挙へ突入

Diet of Japan Kokkai 2009
国会議事堂正面 (出典:Wikimedia Commons)

衆議院解散は完全に裏目

安倍首相の解散戦略は完全に裏目となりました。小池百合子都知事が希望の党の代表に就任し、いわば後出しジャンケンの形で、消費税増税の凍結を打ち出しました。安倍首相が25日に説明した消費税の使い道を国債償還から切り替え、教育の無償化に回すこと自体は悪いことではないのですが、かといって消費税率を8%から10%に引き上げる悪影響を打ち消せるほどインパクトのあるものではありません。小池さんが都知事選挙で打ち出した公約が実現していない事を見ても、凍結という曖昧な言葉では本当に増税が止められる保証は全くありません。ただ、マーケティングというか、イメージ戦略は完全に成功し、世論調査の結果を待つまでもなく、衆議院選挙は「希望の党」の一人勝ち、自民党民進党はどこまで議席の減少を食い止めることができるのか、果たして安倍さんは選挙後も首相を続けられるのかという点に政治の焦点が移ったように思えます。

現実主義という手段が目的化した安倍首相の行く末

公明党の出方も注目です。自公連立政権のキーマンだった高村副総裁の引退は国会での自公蜜月関係に大きな影響を及ぼすことが予想されます。メディアでは自民党との協力関係は変わらないという報道が優勢ですが、彼らは大阪でも、東京でも最終的には勝ち馬に乗り、敗けない戦略をとっています。憲法改正はアクロバティックな選挙後の政権組み替えがなければ絶望的、経済政策(アベノミクス)の整合性も消費税増税を主張するに至っては、破綻したと言われても文句は言えないでしょう。こうなると、安定した長期政権の下、政治家として一体全体何をしたかったのかという問いが安倍首相に投げかけられるのも仕方がないところです。

憲法改正こそ安倍首相の本懐であり、経済政策などあくまでもその付随的手段であるということが巷間では、衆目の一致するところとされてきました。しかしながら、森友、加計問題で垣間見えた現実主義の低姿勢、そして財務省、党内の増税派に配慮しての緊縮財政と今回の消費税増税の主張。ここまで来ると、完全に理想を捨て、権力維持に汲々するただのリアリスト、政治屋に堕してしまっている気がします。安定政権が手段でなく、目的化してしまったように私には映るのです。いや、靖国参拝しかり、拉致問題しかり、慰安婦像問題しかり、政権運営全般を見ると、結果としては調整型の政治家としての行動しか取れなかったのです。それが現実といえばそれまでなのですが、今後、希望の党との大連立をしてでも、イバラの憲法改正の道に踏みこむサプライズがなければ、国民にとっての安倍首相の意味は今後ますますなくなっていき、レイムダック化するでしょう。

バルカン政治家としての小池百合子、大波乱の幕開け

恐ろしいのは、小池百合子さんのバルカン政治家ぶりです。安倍首相とは対照的に、良いか悪いか別として、彼女の内閣総理大臣になるという目的、目標にブレはありません。キャリアステップとしての東京都知事という手段に埋没するなどなく、あらゆる手段を駆使して目的を達成しようとしています。ここに来て、離党者のみならず、民進党そのものを吸収し、さらに渡辺喜美さん、小沢一郎さんを取り込み、反消費税を全面にして戦える陣容を整えつつあります。そしてここがミソなのですが、この渡辺喜美小沢一郎というピースを取り込むことは、反消費税のみならず、旧民進党国会議員たちへの牽制を働かせる一石二鳥の名手であるということなのです。力を均衡させて、上に立つという伝統的かつ老練な政治手法と言えます。政策の実現性については繰り返しになりますが、東京都の例を見ても、期待値通りの結果を残せるのかは甚だ疑問です。しかしながら、長期政権の下、安定という手段が目的化した安倍政権へのカンフル剤となり、現在の自公連立政権の立ち位置よりも、憲法改正をはじめとする理想、悲願を達成する上では、選挙後の希望の党との大連立の方が安倍首相にとって望ましいようにも映ります。

何れにしても、総選挙でも自民党圧勝はなくなりました。日本政治は北朝鮮問題暴発の危機の中、よもやの大波乱を迎えることなりました。