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東京都選挙管理委員会にみる「神エクセル」の惨状とこれから

f:id:suguruyoshida38:20170704222155j:plain(出典:東京都選挙管理委員会

神エクセルの予感、的中す。

都議選の結果をちゃんと確認しようと、東京都選挙管理委員会のサイトにアクセスしました。PDFと共にアップされていたExcelファイルを開けて、嫌な予感はやはり的中しました。典型的な神エクセルがザクザクと出てきました。担当者は、おそらく今までの延長線上で仕事をしているのかもしれませんが、都民はこんな酷いガタガタのファイルをもう見たくはありません。PDFファイルと共になぜExcelファイルをアップしているのかということを都職員は考えたことはあるのでしょうか。もしや、AdobeReaderが、バソコンに入っていない人のためにExcelファイルをアップしているとなど考えはいないでしょう。しかしながら、そう思わざるを得ないほどとExcelファイルの中身は酷く、私は唖然としています。これが、日本の首都の職員レベルなのでしょうか?

都民ファーストの会に期待する。神エクセルの追放を

選挙に勝利した都民ファーストの会並びに小池都知事は、即刻職員を配置転換するか、タコ部屋に缶詰めにして本気で日勤教育を施さなければなりません。半分冗談で、半分本気です。先日の都議選において、都民ファーストの会で当選した議員たちは平均年齢は若く、かつIBMとかMicrosoftといったIT企業の元社員も多く含まれています。こうした方々には、完全に終わってしまっている感のある役人の文書管理のあり方、データを公開する上でのデータ形式の基礎的な作法といったことについて、現場職員への再教育、抜本的な仕事のやり方の見直しを徹底的に行っていただきたいと思います。そうでなくては都民の付託に応えたことになりません。

国際間都市競争に勝つためには、十年後では遅い。

社会を前進させるためのプログラミング教育が必要なのは、これからの若い世代では決してなく、今現場で働いている方々なのです。そこで働いている方がちゃんとした情報処理の知見を持たないと、その情報インフラの上に成り立つ社会は非効率的にならざるを得ません。政治もそう、メディアもそう、金融も、観光もそうです。とりわけ、オリンピックを国際都市間競争で勝利するための起爆剤として利用することを意図しているのであれば、明日からでも、ニーズの高い都市情報をデータべース化し、利用しやすい形態での公開を徹底して推し進める必要があります。数十年後に供給される若者を期待していては手遅れなのです。

利用しやすい情報の蓄積形態が極めて重要

都民ファーストの会は、「のり弁*1をやめる」というキャッチフレーズの下、情報公開を推し進めることを公約で掲げています。しかしながら、公開するということでは足りません。公開すること以上に、情報が都民に利用しやすい形態で蓄積されているのかという点が極めて重要です。時間のない市井の都民はうず高く積み上げられた段ボールから情報を取捨選択して、整理する時間はありません。文書はできるだけ電子化、データベース化することが必要です。卑近な例であれば、グーグル図書館のようなものに電子目録を追加するようなイメージ、時間の経過によって、こまめにに変化する電子マップようなものといったところでしょうか。

都庁マネージメント層50代、彼らに都市の情報政策は推進できるのか?

今回の選挙管理委員会の「神エクセル」が教えてくれたことは、文書の電子化、データベース化、WEBでの公開などについて、都庁のマネージメント層はその役割を全く果たしていないということでした。現在の都庁のマネージメント層は、都庁職員の平均年齢から推察するに、おそらく50代。この年代層は、1995年のWindows95発売時におよそ30歳くらい。すでに社会人となり、忙しく働いています。Windows95の発売時にすでに社会人となっていたのか、それともまだ学生でITに関する十分な学習時間があったのかということは、個人的な差はあるものの、IT(情報処理)の基礎的素養のありなしを判断する上で決定的なターニングポイントになっていると私は考えています。今いるマネージメント層は、時代のせいもありますが、都市の情報政策を推進するだけの力がない可能性が極めて高いと私は思います。

役職は身分ではなく、機能となる組織の確立を

経験則から言うと、ITを使ったビジネスを生み出したり、業務改善を進めることができるのかどうかは、トップのリーダーシップではなく、組織的な力でもなく、そのほとんどが個人の力量、個の力によるところが大きいのです。この分野においては、個々の能力差はあまりに大きく、100人の素人をいくら集めても、1人の人間に勝てないという現実*2を私はあらゆる場面で目撃しています。このような領域では、役職が身分になっているような日本的組織形態では全く対応できません。情報処理分野のリーダーは、能力のある人間、つまり身分ではなく機能としなければならないのです。

神エクセルを大量に公開して、恥を欠かないためにも、東京都は情報処理分野において実力主義を徹底的に推し進める必要があります。30代の課長、40代の部長といった組織編制、あるいは、外部チームを既存の職員とそっくり入れ替えるような荒療治が必要なのかもしれません。それができないと、「国際金融都市」の復活とか言っている小池都知事のスローガンは、笛吹けども踊らず、世界から嘲笑の対象となること請け合いです。

*1:黒塗りで肝心なところが隠された公文書のこと

*2:「優秀な5人のプログラマは、二流のプログラマ1000人を完全に凌駕する」(Five great programmers can completely outperform 1,000 mediocre programmers.)Netscape創業者マーク・アンドリーセンの言葉