都民ファーストの会圧勝
選挙は私の予想以上に都民ファーストの会の圧勝となりました。メディアなどから伝わる戦前の予想を見ていたので、自民党の議席数はさすがに30は割らないだろうと考えていましたが、まさに開けてびっくり玉手箱。自民党は公明党と同じ議席数の23を確保するのがやっと。都民ファーストの会の55議席(追加公認含む)に対し、ダブルスコア以上の差を付けられての大敗となりました。敗因の要因を森友学園や加計学園、豊田真由子議員の「このハゲ、違うだろ」騒動や稲田朋美議員の自衛隊発言などに求める向きもありますが、選挙結果を見て私はあらためて公明党(創価学会)の底力を見せられたように思いました。それに対して、自民党の選挙基盤は今もなお都市部ではぶっ壊れており、風によって右にも左にも行ってしまうのだなあと思わざるを得ませんでした。自民党は、ウイングを広げて風を捉える受け皿になれるものの、組織的な実力は公明党創価学会とそう大差がないということが明らかとなりました。盤石に見えた安倍政権も実は、公明党の堅い協力なしでは成り立たない砂上の楼閣であり、安倍首相の高度なマネジメント力によって安定が保たれていたのだなあと思いました。
選挙区ごとの獲得議席*1
選挙区ごとの各政党の獲得議席を見てみましょう。「当選者(政党)」は、各選挙区で当選した議員の獲得票順に並べてあります。ほぼすべての選挙区で都民ファーストの会の候補者がトップ当選を果たしています。都民ファーストの会が風を捉えて多く得票すると残り僅かな票においては、固定票を持つ公明党や共産党が有利となり、議席を確保するというパターンが見えます。自民党が深刻なのは、多くある定数3人~5人の選挙区です。前回2人当選だったところが、やっと一人を確保。しかも上位当選ではなく、公明、共産に負けて4位とか5位当選といった具合。定数3の選挙区では、都民、公明、共産に負けて自民党ゼロの結果となった選挙区も結構あります。一人区は島部を除いて都民ファーストの一人勝ち。小選挙区さながらの恐ろしさが垣間見えます。
選挙区 | 定数 | 立候補者(政党) | 当選者(政党) |
千代田区 | 1 | 自都無諸 | 都 |
港区 | 1 | 自都無2諸 | 都 |
中央区 | 2 | 自2都無共幸 | 都自 |
新宿区 | 4 | 自都公民共2無 | 都共公自 |
文京区 | 2 | 自都共 | 都自 |
台東区 | 2 | 自共都無 | 都無 |
墨田区 | 3 | 自2都公共 | 都公自 |
江東区 | 4 | 自2都公2民共無2 | 都自公共 |
品川区 | 4 | 自2都2公民共 | 都2公共 |
目黒区 | 3 | 自2都公共 | 都公共 |
大田区 | 8 | 自3都2民公2共2維無3諸 | 都2公2共自維自 |
世田谷 | 8 | 自3都2無4公民社共維生諸2 | 都2公共自民自2 |
渋谷区 | 2 | 自都民共無 | 都無 |
中野区 | 3 | 自都民公共幸 | 都公民 |
杉並区 | 6 | 自2都2民2公生共無諸2 | 都2共公自2 |
豊島区 | 3 | 自都民公共 | 都公共 |
北区 | 3 | 自都民公共 | 都公共 |
荒川区 | 2 | 自公共幸無3 | 公無 |
板橋区 | 5 | 自2都2民公共幸無2 | 都公都共民 |
練馬区 | 6 | 自2民2公共生2諸 | 都2公共自民 |
足立区 | 6 | 自2都2民公2維共 | 都共自公都公 |
葛飾区 | 4 | 自2都民公共諸2諸 | 都公共自 |
江戸川区 | 5 | 自2都2公共 | 都公都自共 |
八王子市 | 5 | 自2都2民共公無諸 | 公都2共自 |
立川市 | 2 | 自都無共 | 都自 |
武蔵野市 | 1 | 自都民 | 都 |
三鷹市 | 2 | 自都民共 | 都民 |
青梅市 | 1 | 自都無 | 都 |
府中市 | 2 | 自都2共 | 都2 |
昭島市 | 1 | 自都共 | 都 |
町田市 | 4 | 自2都民公2共維幸 | 都公共自 |
小金井市 | 1 | 自都無3 | 都 |
小平市 | 2 | 自都民共 | 都自 |
日野市 | 2 | 自都共無 | 都自 |
西東京市 | 2 | 自都共無 | 都無 |
西多摩 | 2 | 自都共無 | 都自 |
南多摩 | 2 | 自都共無2 | 都無 |
北多摩第一 | 3 | 自都民公共無 | 都公共 |
北多摩第二 | 2 | 自都民生 | 都生 |
北多摩第三 | 3 | 自公共無2 | 無公共 |
北多摩第四 | 2 | 自都共無 | 都共 |
島部 | 1 | 自都共 | 自 |
民進党を離党した都議会議員の結果について
さて、当ブログで取り上げた民進党を離党して小池百合子さんに走った都議会議員の選挙結果を見ていきましょう。
・江東区:柿沢ゆきえ → 落選
・立川市:酒井大史 → 落選
・府中市:小山くにひこ → 当選
・日野市:新井ともはる → 落選
・西多摩(福生市):島田幸成 → 落選
・南多摩(多摩市):石川良一 → 当選
・北多摩第三(調布市):尾崎大介 → 当選
・北多摩第四(清瀬市):山下太郎 → 落選
10人中、5人当選。勝率50%でした。民進党の離党判断が吉と出たか凶と出たかは定かではありません。もともと選挙の強い議員が当選し、弱い議員が落選したというのが私の見解です。まあ、それなりの人は当選し、前回が「風」をとらえただけの人は落選したということにつきるのだと思います。
必勝パターンは「風」と公明党(創価学会)の支援
今回の都議選で、公明党(創価学会)がどのように票を差配したのかを知ることは、選挙のプロではない私ではちょっと荷が重いところではあります。しかしながら、自民党が都民ファーストどころか、共産党にも負ける選挙区が目立ったことを考えると、公明党の力を誰もが認めざるを得ないところであります。今や選挙の必勝パターンは、「風」をつかむことに加え、公明党の支援を受けること。この認識を政治家たちは確信をもって認識したのではないでしょうか。
憲法改正は後退か?
安倍首相は、都議選の敗北によって、悲願の憲法改正のためにこれまで積み上げてきたものが音を立てて崩れようとしています。選挙に強いというただ一点が政治家の求心力であるというのが、政治の核心です。小池さん一人にここまでやられると、求心力は低下し、自民党内の外野がああだこうだと騒ぎ始めます。ましてや、長期政権。冷や飯を食っている人は結構多いのです。リーダーを引きずり降ろそうと手ぐすねを引いています。
アベノミクスも、官僚を敵に回さない安全運転も、憲法改正のための手段であったというのが、安倍首相に対する衆目の一致する見方だったのではないでしょうか。最後の最後、悲願に手が届きそうな地点で、安倍首相は躓きました。果たして、悲願の憲法改正、9条の改正は果たせるでしょうか。