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営業が大風呂敷を広げ、赤字に陥る案件 コンパクト・オリンピックという理念の呪縛

明確に言うと、2020年の東京オリンピックは開催する前から、撤退戦、退却戦の様相を如実に表してきました。国民の夢や希望といった期待は大幅に後退し、費用負担を減らしつつ国際的な信用の失墜をいかにして最小限に食い止めるかという非常に難しい事案であることが国民の目にもわかってきました。オリンピックは国内問題ではなく、外交問題となっていることにようやく気づかされたのです。

鳩山政権下の沖縄基地移転と状況は似ている

政治状況としては、沖縄の基地移転への国民期待が高まる中、打つ手がなくなった鳩山政権と似ています。ここで「最低でも県外」とか、「腹案がある」とか言っていない点で、最低限のリスクマネジメントはできていますが、小池都政は難しい撤退戦に突入しているということなのでしょう。

コンパクト・オリンピックの意味と呪縛

局面を打開できないのは、東京都がオリンピック招致時にIOCと約束した「コンパクト・オリンピック」の理念でしょう。外交は政権が変わったからといって、「はい、ご破算です」とすることはできないのです。日本のスポーツ選手やスポーツ団体の国際的地位が低下するだけならまだしも、国家そのものの信頼性にまで影響を及ぼす可能性があるからです。オリンピックの招致は建前は都市ですが、やはり日本国や日本人というブランドも背負っています。

東京都が掲げたコンパクト・オリンピックの理念とは、 選手村を中心に半径8キロ圏内にほとんどの競技会場があり、非常にコンパクトな会場プラン、そして集中しているからこそ、都市全体がオリンピックをダイナミックに盛り上げていけるというものでした。多くの国民が誤解しているのですが、費用がコンパクトになるという意味では決してないのです。石原前都知事を中心にしたオリンピック招致は、国内にはあたかも<費用がコンパクト>になるように見せて国民の支持を拡大、対外的には会場が集中している<開催地がコンパクト>から、交通アクセスが良く、選手の移動が楽、メディア取材もしやすいという利便性をアピールできました。オリンピックの招致ができたのは、その利便性をIOCが評価したからこそなのです。しかしながら、度重なる会場変更よる地域分散(調布味の素スタジアム幕張メッセ、江の島など)によって、コンパクト・オリンピックの理念は後退し、さらにボート会場が東京から360kmも離れた宮城県に移されるとなるとIOC側から見るとまるで東京都に騙されたかのように映るのです。

民間企業で言うと、営業が大風呂敷を広げ、赤字に陥る案件

石原さんや猪瀬さんは、オリンピック招致のために大風呂敷を広げすぎました。猪瀬さんは責任を森喜朗さんに擦り付けようとしていますが、政治家は結果責任を問われる立場です。作家や評論家ならそれで許されるのかもしれませんが・・・。

いまや、オリンピックの開催費用の総額が3兆円に達する試算が都政改革本部から出される事態となり、世界一カネのかかる五輪になる可能性が高くなっています。

東京オリンピックの招致は、企業で言えば、営業部門が売り上げ拡大や自己の出世のために大風呂敷を広げた(石原・猪瀬)はいいけれど、どう考えても赤字となる契約が製造部門に舞い込んでしまったような状態です。そして、営業部門を仕切っていた社長は交代し、新しい財務出身の社長(小池)が就任しました。まあ、たいていの場合は取引先、消費者との信頼関係が崩れてしまうよりは、将来の関係性を考慮して新しい社長は赤字でも仕事をやりきることが多いのですが・・・。

小池さんは都知事に当選して、今や、運が良かったのか悪かったのかわからないような立ち位置にいます。前任者を否定して新しいものを持ち込もうとしても、現実がそれを許さないことは往々にしてあります。それでもトップは前に進まなければなりません。小池百合子さんは急進的な改革を求める支持層に改革の後退をどのように説明し、説得するのでしょうか。撤退戦、退却戦は政治的に非常に難しいのです。

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